【2024年最新】働き方改革推進支援助成金をわかりやすく解説!問題を解決した5つの事例も紹介
2024年11月14日
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働き方改革推進支援助成金は、働き方改革の制度を導入・改善したらもらえる助成金
働き方改革推進支援助成金は、働き方改革を推進するための制度を導入・改善する事業主に対し助成されます。ただし、どんな取り組みでも良いわけではなく、支給対象になる取り組みを実施した際の経費を助成すると定められています。
支給対象になる取り組みを行い、成果目標といわれる定められた目標をクリアすることで、受給条件もクリアすることができます。
成果目標は例えば、
- 残業時間を減少させた場合
- 年次有休について計画的付与を行った場合
- 勤務間の休憩時間を確保した場合
などです。
働き方改革推進支援助成金には、複数のコースがあり、それぞれに成果目標が定められているため、自社の課題と合致するものを選びましょう。
ただし、働き方改革推進支援助成金(会社単位の助成)は、中小企業事業主で労災保険(労働者災害補償保険)の適用事業主でなければ申請できません。
また、全ての対象事業場において、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している必要があります。
働き方改革推進支援助成金は「会社単位の助成」と「団体単位の助成」の2つに分かれる
働き方改革推進支援助成金には、
- 企業・事業所単位で助成される「会社単位の助成」
- 複数の企業・事業所で構成する団体に助成される「団体単位での助成」
の大枠があります。
自社のみで申請する場合は「会社単位の助成」から、事業主団体などまとめて申請する場合は「団体単位での助成」を選択しましょう。
1.会社単位の助成が受けられる3つのコース
会社単位の助成が受けられるコースは、以下の3つです。
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 業種別課題対応コース
※3.のみ業種が限定される
それぞれのコースによって成果目標が違っており、それらの目標を達成することで助成金が受け取れます。
共通しているのは、いずれも「働き方改革推進支援助成金事業実施計画」が必要である点です。1つの会社で複数の事業場がある場合は、この実施計画立案時に、対象とする事業所を指定します。
また、会社単位の助成の枠では、以下のうちいずれか1つ以上を実施する必要があります。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労務者に対する研修
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理機器の導入・更新
- デジタル式運行記録針(デジタコ)の導入・更新
- 業務効率化のための設備・機器の導入・更新
成果目標とは別で指定されているものの、成果目標の達成に「就業規則・労使協定等の作成・変更」が必要になるため、多くの場合達成できる条件になっています。
2.団体単位の助成が受けられる1つのコース
団体単位で助成されるのは「団体推進コース」のみです。
これは、会社ごとでなく事業主団体や共同事業主の場合に申請できるコースで、行った事業に対して助成されます。対象となる事業は以下の通りです。
この団体単位でのコースは、事業主団体等に助成することで、働き方改革を推進する傘下の事業主を増やすことを目的としています。
会社単位の助成に比べ上限額が高く、助成率も100%です。ただし、前提条件が特殊で限定的な枠なため商工会や協同組合など団体でなければ申請できないためご注意ください。
それぞれのコースについては、詳しくは次の項目で解説します。
働き方改革推進支援助成金の具体的な4つのコース
働き方改革推進支援助成金では以下の4つのコースが用意されています。
- 労働時間短縮・年休促進支援コース 最大200万円
- 勤務間インターバル導入コース 最大120万円
- 業種別課題対応コース 最大250万円
- 団体推進コース 最大1,000万円
それぞれのコースを理解すると、より自社に合った選択ができるようになります。
特に、成果目標を達成することが、助成金受給の条件になるため、成果目標だけでなく達成すべき内容も併せて詳しく見ていきましょう。
1.労働時間短縮・年休促進支援コース 最大200万円
労働時間短縮・年休促進支援コースは、
- 時間外労働や休日労働の時間を減らす場合
- 年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合
- 時間単位の年次有給休暇制の導入、かつ新たな特別休暇の導入をする場合
に申請できるコースです。
成果目標 | 達成すべき内容 | 経費助成上限額 |
1.時間外労働・休日労働の削減 | 1)36協定で合計時間数を月60時間以下に設定 2)36協定で合計時間数を月60時間超80時間以下に設定 | 1)150万~200万円 2)100万円 |
2.年次有給休暇の計画的付与(時季指定) | 就業規則への記載 | 25万円 |
3.時間単位の年次有給休暇または特別休暇の導入 | 就業規則への記載 | 25万円 |
働き方改革の中でも特に重視されている「時間外労働の上限制限」や「年次有給休暇の計画的付与」などに対応できます。なお、成果目標に賃金引上げを加えた場合は、賃金を引上げた労働者の数や上昇率に応じ、上限額が加算されます。
これから就業規則を作る場合や、過去に作ったものを現行の法律に沿うよう変更する場合に活用できるので、就業時間や年次有給休暇について見直す時におすすめのコースです。
2.勤務間インターバル導入コース 最大120万円
このコースは、勤務が終わってから次の勤務が開始されるまで一定時間以上の休息時間を設ける事業主に助成されるコースです。この休息時間を「勤務間インターバル」と言います。
まずこのコースに申請できる前提条件として、令和6年4月1日以前の2年間で、月45時間を超える時間外労働の実態があることが必要です。
ただ実態がない場合でも、以下のいずれかを満たす場合は対象になり得ます。
- 勤務形態等の関係で9時間以上のインターバルが確保できていない事由が認められる場合
- 今後、9時間以上のインターバルが確保できないであろう事由が認められる場合
成果目標は申請するときの状況により3つに分かれます。
※全て就業規則等へ規定する必要あり
会社の状況 | 成果目標 | 経費助成上限額 (インターバルの時間により変動) |
1.新規導入 (勤務間インターバルを導入していない場合) | 従業員の半数以上を対象とする9時間以上の勤務間インターバルを導入する | 100万~120万円 |
2.適用範囲の拡大 (既に9時間以上の勤務間インターバルを導入しており、 対象者が全体の半数以下である場合) | 勤務間インターバルの対象者が全体の半数を超えるようにする | 50万~60万円 |
3.時間延長 (既に9時間未満の勤務間インターバルを導入している場合) | 勤務間インターバルの対象者が全体の半数を超えるようにし、 勤務間インターバルの時間を2時間以上延長して9時間以上にする | 50万~60万円 |
上記成果目標を達成した場合、導入のための必要経費75%の補助が受け取れます。上限額は会社の状況と導入する勤務間インターバルの時間により増減するためご注意ください。なお、成果目標に賃金引上げを加えた場合は、賃金を引上げた労働者の数や上昇率に応じ、上限額が加算されます。
勤務間インターバルを導入することで、従業員の睡眠時間の確保や生活時間の確保が可能です。ワーク・ライフ・バランスに直結する部分なため、シフト制や日勤・夜勤が不規則な現場などでインターバルが短い場合は導入することで従業員の健康を守れます。
3.業種別課題対応コース 最大250万円
業種別課題対応コースは、その名の通り以下の業種のみが活用できるコースです。
- 建設業
- 運送業
- 病院等
- 砂糖製造業(鹿児島県、沖縄県の特定の事業主のみ)
これらの業種は、令和6年4月より時間外労働の上限が新たに規制された業種です。その規制への対応を円滑にするために設けられたコースになります。
参考:厚生労働省「はたらきかたススメ」
成果目標 | 達成すべき内容 | 経費助成上限額 |
1.時間外労働・休日労働の削減 | 労働時間短縮・年休促進支援コースと同じ | 150万~250万円 |
2.年次有給休暇の計画的付与(時季指定) | 同上 | 25万円 |
3.時間単位の年次有給休暇または特別休暇の導入 | 同上 | 25万円 |
4.勤務間インターバルを導入すること 1)新規導入 2)適用範囲の拡大 3)時間延長 | 基本は勤務間インターバル導入コースと同じだが、 業種によりインターバルの時間や適用範囲が異なる | 【建設業、砂糖製造業】 50万~120万円 【運送業、病院等】 60~170万円 |
5.週休2日制の推進に向けた取り組みを行う (建設業のみ) | 以下のいずれか1つを選択して実施
| 25万~100万円 |
6.医師の働き方改革推進のため取り組みを行う (病院等のみ) | 以下の内容を全て実施
| 50万円 |
このコースの上限額は、他のコースに比べ高く設定されています。貴社の業種が当てはまる場合は、他のコースよりも業種別課題対応コースを選択する方が、受給金額が高くなるためおすすめです。
なお、成果目標に賃金引上げを加えた場合は、賃金を引上げた労働者の数や上昇率に応じ、上限額が加算されます。
4.団体推進コース 最大1,000万円
団体推進コースは、中小企業事業主の団体や連合団体単位で申請できるコースです。時間外労働の削減など、従業員の労働条件改善のために取り組みを行った団体に対し経費が助成されます。
通常の経費助成上限額は500万円ですが、構成事業主の所在地が複数の都道府県や市区町村にまたぐ場合のみ上限額が1,000万円になります。※細部条件があります
このコースのみ成果目標が選択式ではなく、決められています。
成果目標 |
構成事業主の半分以上が、改善事業を行うことや、内容を周知し確認できる状態にすること |
ここでのポイントは、必ずしも全ての事業主が取り組む必要はなく、取り組みを確認できれば受給できる可能性がある点です。
経費については、以下のような経費が対象になり、上限額はあるものの100%が助成対象になります。
【今さら聞けない】働き方改革とは?対応すべき課題が見える自己診断シート
ここでは、そもそも働き方改革とは何かについて解説し、どこまで対応が進んでいるかの診断ができるシートを紹介します。
もし対応できていない箇所がある場合は、助成金を活用しながら整えるチャンスですので、一つひとつ見ていきましょう。
ここで課題をチェックし、課題に対応する項目を見ていきましょう。
1つでもチェックがある場合は、課題への対応が必要です。
もし働き方改革についての課題が見えた場合もご安心ください。働き方改革推進支援助成金では改善を行う場合でも助成対象になります。
まずはそれぞれの項目について、正しい知識を会得していきましょう。
そもそも働き方改革ってなに?
働き方改革とは、従業員が個々の事情に応じて、多様で柔軟な働き方を選択できるようにするための改革です。
特に以下の3点が重要視されています。
- 時間外労働の削減
- 年5日の有給休暇の確実な取得
- 業務形態による不合理な待遇差の解消(同一労働同一賃金)
働き方改革推進支援助成金は、その名の通り、働き方改革で重要視されている制度の導入を後押しする目的で設立されました。
働き方改革では時間外労働や休日労働についても定められており、36協定が関係してきます。36協定について詳しくは後述しますので、そちらをご覧ください。
まずは、自社がどこまで働き方改革に対応できているか、自己診断シートを用いてチェックしてみましょう。
時間外労働の上限はどれくらい?
時間外労働の上限は、36協定を結んでいるかなどの条件によって異なります。
36協定とは、時間外労働や休日出勤について定めた労使協定のことで、時間外労働を命じる場合は、36協定を結ぶ必要があります。
また原則、36協定で定めた時間数を超えて業務を命じることはできません。
ただし、臨時的に特別な事業(トラブル対応など)があり、従業員が合意して労働基準監督署長に届けた場合「特別条項」に該当します。
それぞれの時間外労働の上限は、以下の通りです。
条件 | 時間 |
36協定を結んでいない場合 | 時間外労働や休日労働はさせられない |
36協定を結んでいる場合 | 36協定で定めた時間を上限とする ただし、上限は以下の通り 月45時間 年360時間 |
36協定を結び特別条項に該当する場合 | 年720時間以内 時間外+休日労働が月100時間未満 など |
36協定を結ばずに時間外労働をさせた場合など、違反をした場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
労働時間に関する課題であれば、「労働時間短縮・年休促進支援コース」を活用すると助成金を受け取りながら解決できます。
年5日の有給休暇の確実な取得とは?
まず、以下の2点を満たす従業員には年次有給休暇が付与されます。
- 半年間継続して雇われている
- 全労働日の8割以上出勤している
※年次有給の付与日数は、継続勤務年数と勤務時間により変動します
この年次有給が10日を超える場合、以下のいずれかの方法で5日分を取得させる必要があります。
- 労働者自らの請求
- 計画年休(労使協定で有給休暇の日付を定めている)
- 使用者による時季指定
時季指定とは、会社側から有給休暇の取得時季を定める方法です。一方的に時季を指定すれば良いわけではなく、従業員の意見を尊重するよう努めなければならないとされています。
従業員と代表(担当者)双方の話し合いのもと、有給の時季を指定しましょう。
また、年次有給は付与するだけでなく、年次有給休暇管理簿の作成が義務付けられています。法律上は5年間の保管義務がありますが、現在は経過措置として3年間の保存が必要な点にもご注意ください。
年次有給休暇に関する課題であれば、「労働時間短縮・年休促進支援コース」を活用すると助成金を受け取りながら解決できます。
同一労働同一賃金の考え方ってなに?
同一労働同一賃金とは、雇用形態に関係なく同じ業務を行っているなら、同じ金額が支払われるべきだという考え方です。
パートやアルバイトなど非正規の従業員と正社員の待遇差を無くすべく立案されたのが「同一労働同一賃金の考え方」です。
待遇差の改善は基本給(時給)だけでなく、通勤手当などの各種手当や福利厚生なども差がないよう検討しなければなりません。
しかし、必ずしも全ての従業員に適用されるわけではありません。責任範囲が異なるなど、明確な理由があれば差を設けることもできます。
同一労働同一賃金に対応した働き方改革推進支援助成金のコースはありません。しかし、会社単位の助成の条件を満たしたうえで、従業員の賃上げを行うと以下の金額が経費助成上限額に加算されます。
※( )は従業員数が30人を超える中小企業主の場合の金額
引上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
3%以上 引上げ | 30万円 (15万円) | 60万円 (30万円) | 100万円 (50万円) | 5万円/人 (5万円/人 |
5%以上 引上げ | 48万円 (24万円) | 96万円 (48万円) | 160万円 (80万円) | 16万円/人 (8万円/人 |
勤務間インターバルとは?
勤務間インターバルとは、終業してから次の始業まで、どれくらいの休息時間が確保されているかの時間数です。
労働時間等設定改善法により、2019年4月から勤務間インターバル制度の導入が努力義務化されています。特にシフト制や夜勤がある場合、繁忙期に従業員の恒常業務量を超えた業務がある場合などは勤務間インターバルが短くなりやすいためご注意ください。
勤務間インターバルを長くするためには、特定の時刻以降の残業の禁止や、始業時刻の繰り下げなどの制度化が有効です。
制度として導入する場合、就業規則等への記載が必要になりますが「勤務間インターバルコース」の対象になります。
企業が働き方改革に取り組むべき3つのメリット
働き方改革に取り組むと、会社にとっても以下のようなメリットがあります。
- 生産性の向上が期待できる
- 従業員の健康を心身ともに保てる
- 人材定着や新規雇用で人手不足を解消できる
それぞれのメリットをおさえておくと、注力する箇所が明確になります。それぞれ見ていきましょう。
1.生産性の向上が期待できる
従業員が十分な休息を得られると、パフォーマンスの向上が期待できます。特に睡眠時間を確保できる点は大きく、ミスや事故の低下に繋げられるため、トラブル対応に割く時間も削減可能です。
生産性が向上すると、売上アップだけでなく残業代の削減が図れるため会社の利益に繋がります。また、余裕が生まれることで不測の事態にも十分に対応でき、顧客満足度が向上する場合も多々あります。
2.従業員の健康を心身ともに保てる
残業・休日出勤の削減や、勤務間インターバルの導入により、従業員は十分な休息時間を得られます。
年次有給の指定など、休みやすい環境を整えることで睡眠時間はもちろん、家族との時間や趣味の時間を確保できます。体やメンタルヘルスの不調を防げるため、通院や入院などで欠勤するリスクを抑えることができ、従業員に長く健康に働いてもらえる点も大きなメリットです。
3.人材定着や新規雇用で人手不足を解消できる
働き方改革に取り組むことは、人材定着に繋がります。従業員の心身の負担を抑えられるため、離職や休職のリスクの低下に繋がるためです。
さらに、求人を出す時にもワーク・ライフ・バランスを保てる会社であることは有利に働き、新規人材の確保も期待できます。近年では有給取得日数や特別休暇について求人に記載する企業も多くいるため、他社よりも良い環境にできれば求職者の応募に繋がります。
働き方改革に取り組まなかった時の罰則とペナルティ
働き方改革は、法律で定められている部分が多く、取り組まった場合は罰則やペナルティを受ける可能性もあります。
1.6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金になる可能性がある
36協定を締結していない状態で、法定労働時間超過などの違反を行った場合は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」になることもあります。また、年次有給の時季指定について違反すると「1人あたり30万円以下の罰金」になる可能性があります。
労働基準法などの法律違反をすると、企業名が公表されることもあるため注意が必要です。法律違反で企業名が公表されると、社会的信頼の失墜で取引先の減少や求人応募者の減少など会社にとって悪影響が多々生じます。
必ず現行の法律に沿った運用を行いましょう。
2.労働基準監督署に送検されると一部の助成金が5年間活用できなくなる
労働基準法に違反した場合、労働基準監督署による是正指導が行われます。指導に従わなかったり、違反が悪質と判断される場合は送検される可能性もあります。
労働基準監督署に送検された場合、働き方改革推進支援助成金だけでなくキャリアアップ助成金や業務改善助成金など、厚生労働省管轄の助成金が5年間活用できなくなるためご注意ください。
助成金は従業員の待遇を改善する場合や、業務を効率化する場合に経費の一部を助成してもらえる制度です。返済不要の資金源を活用できるように、正しく働き方改革を導入する必要があります。
【事例集】働き方改革推進支援助成金ではこんな問題を解決できる!
ここでは、働き方改革推進支援助成金の過去の事例を紹介します。具体的な活用イメージをつけることで、自社に取り入れる際も迷わず導入できるため、ぜひ参考にしてください。
介護業:勤怠入力ソフト+コンサルにより勤怠管理を効率化
助成金のコース | 労働時間短縮・年休促進支援コース |
課題 | 個々の勤怠入力によるミスが多く、労働時間の集計に時間がかかる |
解決法 (助成金の対象部分) |
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結果 |
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この会社の課題は、労務管理者の労働時間です。従来の勤怠管理は個人ごと入力しており、ミスが多い状態でした。そのため、集計に時間がかかり、取りまとめるだけで2日かかってしまった事例です。
コンサルを受け、労務管理のソフトウェアの導入を行うことで労働時間の取りまとめ業務そのものが無くなりました。さらに、職員の労働時間に関する意識が高まったことで残業も減少しています。
小売業:POSレジの入替と自動釣銭機でミスを削減
助成金のコース | 勤務間インターバル導入コース |
課題 | 軽減税率によるレジ業務のミスと集計時の誤差の発生 |
解決法 (助成金の対象部分) | POSレジの入替と自動釣銭機の導入 |
結果 |
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小売業が多く抱える悩みである、軽減税率の問題を解決した事例です。この会社では元々、消費税8%の商品と10%の商品がそれぞれあり、手作業でレジ打ちしていたためミスが発生していました。
POSレジと自動釣銭機を導入し、レジ打ちを素早く行えるうえに会計のミスが減るためレジ締めの時間を半減することに成功しています。
建設業:測量作業と重機操作の効率化で労働時間を削減
助成金のコース | 業種別課題対応コース |
課題 | 1)技術継承が難しく、高い水準での重機操作ができない 2)測量業務に人手が取られてしまう |
解決法 (助成金の対象部分) | 新型測量杭打ち機や重機用センサーユニット等を導入 |
結果 |
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建設業で多くある人材不足と技術不足の悩みを同時に解決した事例です。測量は人力だと2名1組で行う必要がありますが、新型の測量機であれば1名のみで可能になりました。
また、この事例では重機のICT化も行っています。重機は本来、高い技術を要します。マシンコントロール等で正確な操作が可能になり、センサーユニット等を取り付けることで安全性を高められるなど、不慣れな従業員でも十分に重機を扱えるようになります。
運送業:大型トレーラーの導入で労働時間を削減
助成金のコース | 業種別課題対応コース |
課題 | トレーラーの積載量が限られており、従業員の負担が大きい |
解決法 (助成金の対象部分) | 新型の大型トレーラーを導入 |
結果 |
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この事例では、従業員の負担軽減のため、大型のトレーラーを導入し、業務時間を大幅に削減しました。その結果、ボランティア休暇を導入できるほど余裕が生まれたとのことです。
特に運送業は2024年問題の影響を大きく受け、業務量と従業員の勤務状況のバランスに悩む事業者が多いと耳にします。
働き方改革推進支援助成金を活用すれば、特に高額になりやすいトレーラーの購入を75%OFFで導入でき、一気に問題解決に繋げられる場合もあります。
町の商工会:人手不足解消のためのプロモーション活動
助成金のコース | 団体推進コース |
課題 | 売上の減少 人手不足 |
解決法 (助成金の対象部分) | PR動画の作成 ホームページ・チラシの作成 Web広告・合同説明会の実施 自動丁合機・自動紙折機 |
結果 | 1日かかっていた紙折り業務が30分で終わるようになった 求人を行った会員企業の半数が人材獲得に繋がった |
この事例は団体推進コースで、商工会規模でのプロモーション活動を行った事例です。大型店舗の進出によって、商店の売上が低下しているだけでなく人手不足の問題もありました。
PR動画やホームページの作成で外部へのアピールを行いつつ、会員に対して高価な機械の無料貸し出しを行うなど団体ならではの取り組みを行っています。
特にパンフレット等の封入作業は、紙折り機を導入することで87%の作業量削減に成功しています。
働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
コースによって必要な書類等は異なるものの、働き方改革推進支援助成金の流れは全コースおおむね同じです。労働時間短縮・年休促進支援コースを例に見ていきましょう。
- 必要書類の収集
- 交付申請書、事業実施計画を作成
- 交付申請
- 交付決定通知を受理
- 事業実施
- 支給申請
- 支給決定通知を受理、助成金を受け取る
働き方改革推進支援助成金は、交付申請と支給申請で申請が2回あるためご注意ください。
また、事業を行うのは交付決定を受けてからでなければなりません。詳しくは次の項目で解説しますので、そちらをご覧ください。
働き方改革推進支援助成金申請時の6つの注意点
働き方改革推進支援助成金を申請する際、以下の点に注意が必要です。
- 事業は交付決定後に行わなければならない
- 交付決定後に事業が中止・廃止・遅延する場合は届出が必要
- 原則消費税額は除外して計算する
- 支給申請時には、就業規則等への記載が終了していなければならない
- 成果目標を達成できない場合、助成金の対象外になる
- 経費の支払いは原則銀行振込で、クレカ等で支払う場合は引き落とし日の期限が支給申請日まで
注意点をおさえておくと、申請時の修正を減らせるためより短期間での申請ができるようになります。一つひとつ見ていきましょう。
1.助成対象になる取組は交付決定後に行わなければならない
働き方改革推進支援助成金では、助成対象となる取り組みは交付決定後に行わなければなりません。設備投資やコンサルティング費用が助成対象になりますが、あくまでも交付決定後に導入・実施した場合です。
交付決定前にできるのは見積りまでなので、発注や契約は必ず交付決定後に行うよう注意しましょう。
2.交付決定後に支給対象になる取組が中止・廃止・遅延する場合は届出が必要
交付決定後、支給対象になる取組が中止・廃止・遅延などある場合はそれぞれ届出が必要です。
事業の状況 | 提出書類 |
事業を中止・廃止する場合 | 働き方改革推進支援助成金事業中止・廃止承認申請書 |
遅延する場合 | 働き方改革推進支援助成金事業完了予定期日変更報告書 |
中止の届出を行った場合、事業の再開ができます。再開する際は届出を出し、都道府県労働局長の承認を受ける必要があるためご注意ください。
廃止した場合は、途中まで事業を行った場合でも助成金の対象外となります。
遅延する場合は、届出なく本来の事業実施予定期間内に成果目標が達成できなかった場合や、事業が完了しなかった場合、交付決定が取り消されることがあります。
また、遅延の届出をする場合であっても、令和7年1月31日を超えられない点にもご注意ください。特に中止・遅延の判断は助成金の受給ができなくなる可能性もあるため、注意して行いましょう。
ただし、事業内容や全体の実施予定期間に変更が生じないなど、軽微な変更であれば届出が不要になる場合もあります。大きな変更でない場合は都道府県労働局に届出が必要か否かを確認することをおすすめします。
3.原則消費税額は除外して計算する
原則、経費の金額は消費税額を除外して計算する必要があります。
ただし、以下のいずれかに当てはまる事業主は消費税を算入して計算可能です。
- 免税事業者である
- 消費税簡易課税制度を選択している
- 一般社団法人、医療法人など消費税法別表第3に掲げる法人
- 自己負担等が増加する等の理由で、消費税仕入控除税額確定後の返還を選択している
上記以外で消費税額を算入してしまった場合は、タイミングによって対応が変わります。
タイミング | 対応 |
交付決定後 | 支給申請時に、消費税額を減額して報告する |
助成金の受給後 | 「働き方改革推進支援助成金に係る消費税額の確定に伴う報告書」を提出する |
4.支給申請時には、就業規則等への記載が終了していなければならない
働き方改革推進支援助成金では、就業規則の作成・変更が必要なコースが多くあります。支給申請時には、就業規則等への記載が修了している必要があるため、ご注意ください。
就業規則の作成には一般的に2〜3ヶ月かかることが多いため、早めの段階から取り掛かることをおすすめします。
5.成果目標を達成できない場合、助成金の対象外になる
成果目標を達成できない場合、助成金の対象外になります。ここで注意が必要なのは、計画時に複数の事業場を指定した場合です。
働き方改革推進支援助成金事業実施計画で複数の事業場を指定した場合、全ての事業場が成果目標を達成する必要があります。
言い換えると、1つの事業場でも成果目標を達成できなかった場合、助成金の対象外になるためご注意ください。
6.経費の支払いは原則銀行振込でクレカ等で支払う場合は引き落とし日の期限が支給申請日まで
経費の支払いは原則銀行振込とされています。クレジットカードや小切手等でも支払いは可能ですが、引き落とし日の期限が支給申請日までに終わるよう支払う必要があります。
例えば、支給申請日が8/1である場合、7/31までに口座から引き落とされている必要があります。
通常、クレジットカードは支払いから引き落としまでに1ヶ月ほど期間があるため、利用する場合はご注意ください。
働き方改革推進支援助成金で事業者の方からよくあるQ&A
ここでは、働き方改革推進支援助成金を申請する際に事業者の方からよくあるQ&Aを紹介します。多くの方がつまずきやすいポイントなため、申請前に一度ご確認ください。
Q.個人事業主でも申請できる?
個人事業主であっても、従業員を雇用しており、労働者災害補償保険の適用事業主である場合は申請可能です。
Q.常時使用する労働者の数とは?
常時使用する労働者の数は、労働保険の常時使用労働者数と同じになります。そのため、パートやアルバイトも含まれます。
Q.交付決定前に機器の発注を行っても良い?
交付決定前にできるのは、機器の「見積り」までです。先述した通り、働き方改革推進支援助成金は交付決定を受けた後に発注や契約を行う必要があります。
交付決定前に発注・契約を行った場合は対象外になるためご注意ください。
Q.銀行振込の手数料は計算に含める?
銀行振込の手数料は、原則計算に含めません。ただし、団体推進コースの場合かつ、受注側が手数料を負担する場合のみ含めて計算できます。
Q.業務研修で当該資格の取得が出来ず不合格となった場合は、助成対象となるか
資格の取得を取組に含める場合は、合否を問わず助成対象になり得ます。
ただし、交付決定を受けていることが前提なため、正しい流れでの申請が必要な点にはご注意ください。
Q.自社ホームページのリニューアルは助成対象となるか
自社ホームページのリニューアルは人材確保に向けた取り組みの場合、助成対象になり得ます。過去の事例を見ても、求人ページをリニューアルして新規求人に繋がった事例もあります。
ただし、会社単位の助成の場合、人材確保に向けた取り組みの上限額は10万円です。ホームページの作成や変更には数十万〜数百万かかることも珍しくないため、あらかじめ見積りを取ることをおすすめします。
Q.オフィスのエアコンの更新は対象となるか
エアコンの更新は対象になりません。働き方改革推進支援助成金の支給対象はあくまでも業務効率化等の施策です。業務効率化の中には、不快感を取り除くことは含まれません。
同様の理由から、単にオフィスチェアを交換する場合やキャビネットを購入する場合も対象外になる可能性が高いです。
Q.PCやタブレットは対象になる?
基本的にはPCやタブレット、スマートフォンなど用途が多岐にわたるものは助成金の対象外です。ただし、POSレジの導入や会計システムの導入により、今使用しているPCでは動作ができない場合は助成対象になる可能性があります。
また、ワークステーション(さらに高性能なPC)も対象になり得ます。例えば、建設業であれば高性能なCADソフト等を動作させる場合に高性能なPCが必要になる場合などです。
ただし、通常のPCで行える業務のみをワークステーションで行う場合は対象外になる可能性がありますのでご注意ください。
Q.コンサルティングで提案された事項のうち、一部しか実施されていない場合、助成対象となるか
例えば、3つの取組が提案されてうち、1つはできており2つが未着手だったとします。この場合、提案を課題として受け入れ、実施していこうという姿勢が見られるのであれば対象になり得ます。
最終的な判断は都道府県労働局により行われるため、取組状況について説明を求められた際は回答できるよう準備しておきましょう。
ただし、全く着手しておらず、取り組む姿勢が見られない場合は対象外になると厚生労働省のQ&Aに明記されているため、ご注意ください。
働き方改革推進支援助成金を申請するなら専門家への依頼がおすすめ
働き方改革推進支援助成金を申請するなら、専門家への依頼がおすすめです。制度の導入や助成金の申請は複雑なため、専門家のアドバイスを受けながら行うとスムーズかつ確実に進められます。
どのような業務や相談を依頼するかによって、相談する相手は異なります。ここからは、以下3つに分けてどのような専門家がいいかご紹介します。
- 働き方改革の制度導入に関する依頼:業務コンサルタント
- 就業規則を作成・変更に関する依頼:社労士
- 助成金に関する質問や相談:社長の顧問
働き方改革の制度導入に関する依頼:業務コンサルタント
働き方改革の制度を導入する場合、業務コンサルタントへの相談がおすすめです。
制度を理解して導入したは良いものの、実際に運用するとなると問題が発生した、という悩みをよく耳にします。専門家に相談しながら自社に合う制度を導入し、運用方法についてもアドバイスを受けながら実施することで無理なく導入可能です。
業務コンサルタントとは、企業の業務のプロセスやフローに対してコンサルティングを行う専門家です。業務コンサルタントへの相談費用は働き方改革推進支援助成金の対象になり、会社側の負担は実質25%で可能なため、積極的に相談し、制度を導入していきましょう。
就業規則を作成・変更に関する依頼:社労士
就業規則の作成・変更は社労士(社会保険労務士)の独占業務です。
就業規則は自社で作成することもできますが、助成金を申請する場合以下の知識が必要になります。
- 現行の法律に関する知識
- 助成金に関する知識
働き方改革推進支援助成金は内容がやや複雑で、独学で就業規則を作成すると「記載はされているが、助成金の対象とならない就業規則」になる可能性もあります。
助成金の申請も視野に入れて就業規則を作成・変更する場合は、助成金に強い社労士へ依頼しましょう。
助成金に関する質問や相談:社長の顧問
働き方改革推進支援助成金に限らず、助成金に関するお困りごとは社長の顧問にご相談ください。
「働き方改革推進支援助成金が自社の対象になるかわからない」
「申請してみたいけれど、何から始めて良いかわからない」
こういった悩みは助成金申請時によくある悩みです。社長の顧問では、貴社専属のコンシェルジュ(担当者)が1名付き、通話やメールなどお好みの方法で情報提供をいたします。
助成金に強い社労士とのマッチングも可能ですので、助成金を申請する場合は社長の顧問にご相談ください。
まとめ:費用負担を抑えて、従業員が長く働ける環境を整えよう!
働き方改革推進支援助成金は、残業・休日出勤の削減や勤務間インターバルの確保など、働き方改革の制度を導入・改善する場合に申請できる助成金です。
上限額はあるものの、経費の75%が助成対象になるため負担額を少なくし、働き方改革の制度を整えられます。制度を整えると、生産性の向上や従業員の離職防止、新規雇用の獲得など会社にとってプラスなことが起こり得ます。
特に時間外労働や休日労働などは、違反すると罰則になる可能性もあるため、確実に遵守できるよう制度を整えていきましょう。
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